記号文字だけで情報を伝えていませんか?
JIS 5.5 b);
 
 
概要

Webページのテキストに、記号文字が使われています。記号文字は、音声ブラウザやスクリーンリーダーでは、コンテンツ制作者が意図したとおりに読み上げられないことが多いので、記号文字だけでは情報がユーザーに伝わらない恐れがあります。

 
 
修正/チェック方法

Webページで使用しているテキストの記号文字は、音声ブラウザやスクリーンリーダーでは、コンテンツ制作者が意図したとおりに読み上げられないことが多いので、記号文字だけでなく、情報がユーザーにきちんと伝わるように工夫がされていることを確認してください。

テキストの記号文字を使用すること自体が問題ではなく、それだけではユーザーに正しく情報が伝わらないことがあるということが問題です。

 
 
修正/チェックのポイント

テキストの記号は、音声ブラウザでは意図通りに読み上げないことがあります。
重要な情報を示すのに、記号だけを使用することは避けてください。
特に、絵文字(ASCIIアート)は意図どおり読み上げません。絵文字は使わず、文字や画像に置き換えてください。

「○」「×」(マルやバツの記号)は読み上げないことがあります。画像とし、alt属性で「まる」「ばつ」を指定すれば、音声ブラウザでも内容を正しく理解できます。

  • 注釈は、「*」「※」(コメジルシやアスタリスク)を使用せず、(注1)などと、記述する。
  • 期間、範囲を示す場合は、「~」を使用すること。「-」を利用した場合、「から」と読み上げず、内容を把握しにくい。
  • 上記以外で、音声ブラウザが意図通り読み上げない場合、可能な範囲で対処することが望ましい。

『富士通ウェブ・アクセシビリティ指針 第2.0版』 © 2004 富士通株式会社

 
 
JIS関連項目

5.5 色及び形
b)
ウェブコンテンツの内容を理解・操作するのに必要な情報は,形又は位置だけに依存して提供してはならない。
参考 視覚障害がある場合,形又は位置だけで情報を提供していると提供されていることが認識できず,その内容も理解できない。ただし,形又は位置による情報提供は,認知又は記憶に障害がある場合は有効な手段なので,テキスト情報に加えて併用すると良い。

JIS X 8341-3:2004『高齢者・障害者等配慮設計指針-情報機器における機器,ソフトウェア及びサービス-第三部:ウェブコンテンツ』(© 財団法人 日本規格協会)

 
 
解説

テキストでよく使用される "○" や "×" などの記号文字は、アクセシビリティにおける日本語特有の問題を引き起こすことがあります。こういった記号文字は、"あり"、"なし" といった文言の代わりによく用いられますが、音声ブラウザやスクリーンリーダーではコンテンツ制作者が意図したとおりに読み上げられなかったり、全く読み上げられなかったりするため、その音声読み上げを聞いているユーザーにはその記号文字が伝えている情報が伝わらないことが少なくありません。

例えば、ある製品のスペックを示す一覧表の中で、同じ記号文字の "○" が使われていたとしても、"あり" という意味で使われていることもあれば、"対応"、"問題なし" といった意味で使われていることもあります。画面を見ているユーザーには、その前後関係や文脈からその記号文字が示している情報が伝わったとしても、音声ブラウザやスクリーンリーダーを使用しているユーザーには、その記号文字が全く読み上げられないことがあるので、その部分は何も情報がないと受け止められてしまう恐れがあります。

しかし、だからといってこういった記号文字を使用してはいけないということではありません。記号文字が視覚的に伝える情報は、画面を見ているユーザーにとっては、文字で示されるよりも直感的で分かりやすく、有効であることが多いのです。ポイントは、こういった記号文字だけでその情報を伝えないようにするということです。つまり、記号文字だけでなく、「○(あり)」、「○(対応)」というように、あわせてテキストも記述することで、音声読み上げを聞いているユーザーにも情報がコンテンツ制作者の意図したとおりに伝わるようになります。

ただし、記号文字の意味を説明するテキストを付加する際に、「○(まる)」、「×(ばつ)」というように、その記号文字自体の説明をしてもほとんどの場合は意味がないので注意してください。"あり" という意味で用いているなら「○(あり)」、"対応" という意味で用いているなら「○(対応)」というように、その意味をテキストで付加してください。

他にも、時間の経過や手順を "→" や "↓" といった矢印の記号文字を使って示すことがあります。やはり、音声ブラウザやスクリーンリーダーでは、この矢印の意味を意図したとおりに読み上げてくれないことが多いので、"(次に)"、"(その後)" といったテキストを付加する、あるいは矢印の記号文字を使わずに他の表現に改める、といった何らかの工夫が必要です。

特に、こういった記号文字を多用しているようなケースでは、このテキストを付加することで、見た目には逆にごちゃごちゃしてしまって、場合によっては、かえって分かりにくくなってしまうということも考えられます。そういった場合には、この記号文字をイメージにして、そのalt属性値に記号文字の意味を代替テキストとして記述する、という方法もあります。記号文字がテキストではなくなるので、ユーザーがブラウザの設定で文字サイズを大きくしても、イメージにした記号文字は大きくならないというデメリットはありますが、見た目はシンプルに保つことができ、音声でも確実に意図したとおりに読み上げられるというメリットがあります。

ポイントは、記号文字だけでは必ずしも意図したとおりに情報が伝わらない、という点です。この問題は、厳密にはコンテンツではなく、音声ブラウザやスクリーンリーダー側が解決すべき問題かもしれませんし、また、記号の意味づけをどう行うかという、セマンティックウェブの観点から解決すべき問題ともいえるかもしれません。いずれにしても、現時点ではユーザーに情報が伝わらないことがあることだけはたしかです。この問題をどの方法で解決するかは、ケースバイケースで判断してください。

 
 
JIS X 8341-3について

JIS X 8341-3 の内容は、以下のサイトにて規格番号「X8341-3」で検索して、規格票をご覧ください。

  • 閲覧:日本工業標準調査会(JISC)
    http://www.jisc.go.jp/
  • 購入:日本規格協会(JSA Web Store)
    http://www.webstore.jsa.or.jp/