マルチメディアの代替コンテンツは同期していますか?
JIS 5.4 d); WCAG 1.4; 508条 (b)
 
 
概要

Webページに、マルチメディア・ファイルを埋め込んでいるobjectあるいはembedのような要素、あるいはマルチメディア・ファイルをダイレクトに参照しているaあるいはareaのような要素があります。

キャプションあるいはビジュアル・トラックの音声ガイドのような代替コンテンツが、マルチメディア・ファイルのプレゼンテーションと同期していることを確認してください。

 
 
修正/チェック方法

Webページに、マルチメディア・ファイルを埋め込んでいるobjectあるいはembedのような要素、あるいはマルチメディア・ファイルをダイレクトに参照しているaあるいはareaのような要素があります。
以下に挙げる要件を満たしていることを確認してください。

  • あらゆるマルチメディア・コンテンツにおいて、テキストによるキャプションがすべての音声情報に対して提供されている。
  • すべての音声ガイドおよびテキストによるキャプションがダイナミック・コンテンツと同期している
 
 
修正/チェックのポイント

視覚に障害のある利用者は、音声のない動画の内容を把握できません。
また、聴覚に障害のある利用者は、動画の音声を把握できない場合があります。
さらに、必要なプラグインをインストールしていないため、動画を表示できない利用者もいます。

スピーカーを持っていない利用者や音を出せない環境にいる利用者は、音声だけで提供された情報を把握できません。
また、印刷して参照することもできません。

聴覚に障害のある利用者も、音声だけで提供された情報を把握できない場合があります。
例えば、プレゼンテーションの内容を、音声のナレーションとスライドのみで配信するような場合は、テキストなどを提供し、視覚的にも情報を把握できるようにしてください。

テキストで提供された情報は、音声ブラウザの利用者にも有効です。音声は、再生速度を変更できない場合がありますが、音声ブラウザはテキストを読み上げる速度を変更できます。

  • 動画を使用する場合は、内容を説明する音声または、テキストを提供する(テキストは必ずしも動画と同期させる必要はない)。
  • 音声は、動画に同期することが望ましい。
  • 動画には、字幕をつけることが望ましい。
  • 音声データの内容を、テキストで記述する。
  • テキストは、音声データと同期させて表示してもよい。また、音声の速度が速い場合は、要約してもよい。
  • 操作上の効果音(エラーや警告を除く)やBGMには、テキストの情報を加えなくてもよい。

『富士通ウェブ・アクセシビリティ指針 第2.0版』 © 2004 富士通株式会社

 
 
JIS関連項目

5.4 非テキスト情報
d)
動画など時間によって変化する非テキスト情報には,字幕又は状況説明などの手段によって,同期した代替情報を提供することが望ましい。同期して代替情報が提供できない場合には,内容についての説明を何らかの形で提供しなければならない。
例1. SMIL などを用いて字幕を付ける。
例2. 音声で状況説明(副音声)を入れる。
参考 認知又は記憶に障害がある場合,字幕,状況説明などがあると繰返し見たりすることによって,内容を理解しやすくなる場合がある。

JIS X 8341-3:2004『高齢者・障害者等配慮設計指針-情報機器における機器,ソフトウェア及びサービス-第三部:ウェブコンテンツ』(© 財団法人 日本規格協会)

 
 
解説

音声によるプレゼンテーションには、テキストによるトランスクリプトあるいは音声情報の代替テキストが提供されていなければならない。こういったトランスクリプトがビデオによるプレゼンテーションと同期しているとき、それはキャプションとよばれ、ビデオのオーディオ・トラックを聞くことのできないユーザーが利用します。

QuickTime 3.0およびSMILのようなメディア・フォーマットにより、キャプションおよびビデオの説明文をマルチメディア・クリップに追加することができます。また、SAMIを使うことによっても、キャプションを追加することができます。

使用しているフォーマットが代替トラックをサポートするようになるまでは、ムービーの2つのバージョンを提供してください。1つはキャプションおよび音声ガイド付きのビデオであり、もう1つはそれがないものです。SMILおよびSAMIのようなテクノロジーにより、オーディオ/ビジュアルファイルを別々に分けて、キャプション付きのオーディオとムービーを制作するための同期ファイルによってテキストファイルと結合することができます。

ユーザーが複数のキャプションの中から自分の文章を読むスキルに合わせて選択できるようにするテクノロジーもあります。より詳細な情報は、SMIL 1.0の仕様を http://www.w3.org/TR/1998/REC-smil-19980615/ でご覧ください。

 
 
JIS X 8341-3について

JIS X 8341-3 の内容は、以下のサイトにて規格番号「X8341-3」で検索して、規格票をご覧ください。

  • 閲覧:日本工業標準調査会(JISC)
    http://www.jisc.go.jp/
  • 購入:日本規格協会(JSA Web Store)
    http://www.webstore.jsa.or.jp/