リンク先が新しいウィンドウで開くことを予告していますか?
JIS 5.3 e); WCAG 10.1;
 
 
概要

Webページに、リンク先を新しいウィンドウで開くリンクがあります(target属性、あるいは javascript:window.open() 命令)。もし、新しいウィンドウで開く場合は、事前にユーザーにそのことを知らせていることを確認してください。もし、ユーザーに何の予告もしていない場合は、このWebページはこのチェックポイントの要件を満たせていないことになります。

 
 
修正/チェック方法

できるかぎり、新しいウィンドウを開かないようにして下さい。

もし、どうしても新しいウィンドウを開く場合には、ユーザーに特定のリンクあるいはボタンをクリックすると新しいウィンドウが開くことを知らせてください。例えば、"(新しいウィンドウで開く)" とリンクのラベルの中に書き加えるか、あるいは、リンクのtitle属性に記述してください。もしくは、サイト全体で一貫して "新しいウィンドウで開く" ことを意味する小さいアイコンを使用して、そのアイコンをリンクのラベルの中に置くのも方法の一つです(alt属性値として、"新しいウィンドウで開く" と記述してください)。

すべてのケースにおいて、新しいウィンドウを閉じるための "このウィンドウを閉じる" ボタン、あるいは元のウィンドウに戻るための "前のページに戻る" ボタンを新しく開いたウィンドウのWebページで忘れずに提供してください。

 
 
修正/チェックのポイント

必要以上に多くのウィンドウを開くと、サイトを表示している機器に負担がかかるため、コンテンツの表示速度が遅くなることがあります。

また、視覚に障害のある利用者や高齢者など、多くの利用者は、新しいウィンドウが開いたことに気づかないか、または、その変化に戸惑う場合があります。
このため、前のページを表示するなどの操作が困難になります。

さらに、多くのウィンドウが開いた場合、多くの不要なウィンドウを閉じなければならず、上肢に障害のある利用者を含む、多くの利用者は、操作が困難になります。

  • 新たなウィンドウが開かないようにするため、例えば、<a>タグもしくは、<area>タグの target属性は、_blank、_new を指定しないことが望ましい。
  • 以下の場合は、1つだけなら新しくウィンドウを開いてもよい(target属性に同一の値を指定するなど)。
    • 同一サイト以外のページ
    • ナビゲーションの充実したFlashコンテンツ
    • ヘルプなど同時に参照したい情報
  • 新しくウィンドウを開いたほうが、内容を参照しやすい場合は、あらかじめリンク元で新しいウィンドウが開くことを明示しておくほうが望ましい。
    例えば、「ニュース(新しいウィンドウで表示)」などと表記する。

『富士通ウェブ・アクセシビリティ指針 第2.0版』 © 2004 富士通株式会社

 
 
JIS関連項目

5.3 操作及び入力
e)
利用者の意思に反して,又は利用者が認識若しくは予期することが困難な形で,ページの全部若しくは一部を自動的に更新したり,別のページに移動したり,又は新しいページを開いたりしてはならない。
参考 新しいページが開いたりページが移動したりすることによって,現在の位置又は状況を判断しにくい場合がある。

JIS X 8341-3:2004『高齢者・障害者等配慮設計指針-情報機器における機器,ソフトウェア及びサービス-第三部:ウェブコンテンツ』(© 財団法人 日本規格協会)

 
 
解説

ユーザーがリンクあるいはボタンをクリックすると、ブラウザが新しいウィンドウを開く場合、ユーザーの閲覧環境が変化します。

  • 新しいウィンドウではブラウザ自体のある機能が変更されていることがある。例えば、ブラウザのボタンが完全に非表示になっていたり、新しいウィンドウのサイズや位置が元のウィンドウと異なったり、あるいは、新しいウィンドウが元のウィンドウの前面で開いたり背面で開いたりする。
  • ユーザーの障害の有無に関係なく、新しいウィンドウには "履歴"(および、前のページ)がないので、ブラウザの "戻る" ボタンがアクティブになっていない。

この2つの要因は、同時に起こることもありますが、特に障害者ユーザー、あるいは支援技術を使用しているユーザーが直面する問題を大きくします。例えば、もし、新しいウィンドウが元のウィンドウの前面に同じサイズで同じ位置に開いたとしたら、ユーザーには同じウィンドウのように見えるでしょう。ユーザーは、ブラウザのバグが原因で "戻る" ボタンがアクティブになっていないと勘違いしたり(ブラウザを再起動するかもしれません)、Webサイトのバグだと勘違いしたりするでしょう(そして、他のサイトへ行ってしまうかもしれません)。

視覚障害のあるユーザーにとっては、なおいっそう深刻です。スクリーンリーダーは、ユーザーに新しいウィンドウが開いたことを知らせることができません。画面拡大ソフトのユーザーは、画面のどこかで新しいウィンドウが開いたことにすら気づかないかもしれませんし、どこに新しいウィンドウが開いているのかを探すのにとても苦労するかもしれません。

このような理由から、ユーザーに新しいウィンドウが開くことを事前に知らせることはきわめて重要です。ユーザーには、新しいウィンドウが開く前に、はっきりとそのことを知らせなくてはなりません。

どんな場合においても、新しいウィンドウには、ユーザーが元のウィンドウに戻る(あるいは、新しいウィンドウを閉じる)ことのできるボタンを提供すべきです。こういったボタンは、もし新しいウィンドウでブラウザの基本操作ボタンが使えなくてもユーザーは利用することができます。

 
 
JIS X 8341-3について

JIS X 8341-3 の内容は、以下のサイトにて規格番号「X8341-3」で検索して、規格票をご覧ください。

  • 閲覧:日本工業標準調査会(JISC)
    http://www.jisc.go.jp/
  • 購入:日本規格協会(JSA Web Store)
    http://www.webstore.jsa.or.jp/