オブジェクトのコンテンツが動いていませんか?
JIS 5.8 a); WCAG 7.3;
 
 
概要

Webページにコンテンツが動いている恐れのあるスクリプト、アプレット、あるいはオブジェクトがあります。もし、動きがある場合は、修正するか削除するのがベストです。

 
 
修正/チェック方法

オブジェクトのコンテンツが動いていて、ユーザーが自分でその動きを停止させることのできない状態でないかどうかチェックしてください。

もし、動いている場合は、そのオブジェクトをコンテンツが動かないように修正するか、あるいは、イメージが数回動いたら静止するようにしてください。よりよいのは、ユーザーが自分の意志でその動きを停止することができるようにオブジェクトを修正することです。

 
 
修正/チェックのポイント

光過敏性てんかんのある利用者は、1秒間に数回の明滅や、ストロボ光のような光量の急激な変化に対し、発作を引き起こす可能性があります。
視覚に障害がある場合や、加齢などの原因で認知力などが低下してくるような場合には、明滅や自動スクロールなど、視覚的に変化する情報は把握しにくくなります。

  • 画面全体が、1秒間に2回以上、明滅する表現は行わない。特に彩度(注1)の高い赤の明滅や、色のコントラストの強い画面の反転は避ける。
  • 画面要素(文字、画像など)に、明滅や自動スクロールなどを使用することは避けることが望ましい。使用する場合は、なるべく遅くし、内容を把握しやすくするか、静止した状態での情報提供(テキストによる解説など)も行う。
  • (注1)彩度   
    鮮やかさの度合いのこと。「彩度が高い赤」は、「鮮やかな赤」を意味する。
  • (注2)補色
    「一定の割合で混ぜ合わせると光では白色光に、絵の具では灰色になる関係にある二つの色。」(「大辞林」1992年より)
    例えば、赤とシアン、緑とマゼンタなど。

『富士通ウェブ・アクセシビリティ指針 第2.0版』 © 2004 富士通株式会社

 
 
JIS関連項目

5.8 速度
a)
変化又は移動する画像又はテキストは,その速度,色彩・輝度の変化などに注意して作成することが望ましい。
参考 認知若しくは記憶に障害がある場合又は高齢者などが認識できない可能性がある。
参考 背景の色の変化及び文字の色の変化が,背景と文字との輝度の変化が大きいと目への負担が大きい。

JIS X 8341-3:2004『高齢者・障害者等配慮設計指針-情報機器における機器,ソフトウェア及びサービス-第三部:ウェブコンテンツ』(© 財団法人 日本規格協会)

 
 
解説

オブジェクトのコンテンツに動きがあり、ユーザーはその動きを停止させることができません。

ユーザーはこの動きを目にすると集中力を失い、Webページ上の情報を読んだり、フォームに入力したり、といった作業に集中するのがとても困難になります。

コンテンツが動いていると、認知障害のあるユーザーはWebページのコンテンツに集中するのがとても大変になり、彼らに対してはずっと重大な影響を及ぼします。また、画面拡大ソフトを使用しているユーザーがページ上の一部で動いている部分を読むときのことを考えてみてください。この場合、拡大された部分でコンテンツが視界から消えたり変化したりします。ユーザーは、動いているコンテンツを追いかけながら画面拡大ソフトの拡大位置を再調整し続けることになり、作業に集中することがとても困難になります。

ユーザーが急いでいるときやプレッシャーを感じているときなどは、ある意味では、誰もが認知障害の状態にあるといえます。例えば、とても騒がしくて混雑した空港で、自分の後ろに長い行列ができているキオスク端末で航空券のeチケットを購入している時、たいていの人はチケットを購入することに十分に集中できないでしょう。画面上で何かを動かすことは、ユーザーが購入手続きを完了させるのに何の役にも立たないのです。

最後に、スクリーンリーダーは動いているテキストを読むことができないということを考えてください。

 
 
JIS X 8341-3について

JIS X 8341-3 の内容は、以下のサイトにて規格番号「X8341-3」で検索して、規格票をご覧ください。

  • 閲覧:日本工業標準調査会(JISC)
    http://www.jisc.go.jp/
  • 購入:日本規格協会(JSA Web Store)
    http://www.webstore.jsa.or.jp/